クラウドソーシングは便利だけどそれだけじゃあつまらない

フリーランスでウェブライターをやっている人の多くは、ランサーズやクラウドワークス、あるいはそのほかのいわゆる「クラウドソーシング」と呼ばれるサービスを使っているはずだ。というか、ほとんどの仕事はクラウドソーシングを介してこなしているのではなかろうか。

このクラウドソーシングというサービスとライターの仕事は、わりと相性が良くて少なくともライターにとっては非常にありがたいものと言えるだろう。

だいいち、ほとんどの仕事は厄介な客先に行っての打ち合わせなどは必要なく、ほぼすべてチャットワークなどのメッセンジャーアプリを使って完結する。部屋から一歩も出ないで仕事を探せ、納品まで済ませられるのは、出不精な我々にとっては夢のような働き方だ。

さらに、お金の「取りっぱぐれ」がないというのもクラウドソーシングの利点だ。

クラウドソーシングを使う場合、報酬は事前にサービス側に支払われ、きちんと仕事が完了すればその分を支払ってくれる。大体フリーランスというのはなめて見られることが多く、直接取引では油断していると最後の最後で値切られたり、最悪の場合トンズラされることすら珍しくはない。もちろん規定の手数料を差し引かれるのだが、保険と考えればそこまで大きな金額ではない。

ある程度慣れてくれば、このようにクラウドソーシングは本当に天国のような条件で仕事ができるようになる。

ただし、そこから先、さらに収入を増やしたいとか、レベルの高い仕事にチャレンジしたいとか、自分の名前をもっと売りたいと考えると、クラウドソーシングに100%依存しているだけでは、なかなかそれ以上にならないのが現実だ。

クラウドソーシングでは、直接クライアントとやり取りするのが基本だが、それは一方通行の連絡に過ぎない。つまり、掲示されているサービスに応募し、当選したら仕事をこなし、納品するという流れは、あくまでクライアント主導となる。もう少し仕事をたくさん受けたいとか、違うカテゴリーの仕事を提案したいと思っても、クラウドソーシングを通じていては、できないことはないが現実的に仕事の提案などは難しい。

さらに言えば、仮に現在は安定しているクラウドソーシングサービスも、いつ何時何があるかは保証がない。直接的に言えば、いつサービス停止になるか、永遠に存続するかは誰にもわからない。

フリーランスで仕事をする際に最も重要なのは、仕事の「依存度」を高くしないことだ。依存度とは特定の仕事だけに絞ってしまうことだ。必要なのは依存でなくリスクの分散だ。もし100%特定の仕事だけに収入を頼ってしまうと、その仕事が何かの理由で急になくなってしまった場合、翌月からのあなたの収入は「ゼロ」になってしまう。これはフリーランスとしては、非常に絶望的な状況だ。だからリスクを分散するためには、クラウドソーシング以外でクライアントを一定数確保しなければならない。

来月から突然ランサーズやクラウドワークスがなくなってしまうという可能性は低いが、絶対にないとは言い切れない。だから、クラウドソーシングに自分の仕事の100%を頼ってしまうのは、非常に危険なのだ。

クラウドソーシングは一般的なフリーランスの仕事と比較して「ぬるま湯」とも言えるありがいたいサービスゆえに、ついそのぬるま湯に浸かってしまいがちなのだが、リスク分散を考えれば少し手間をかけてでも直取引の比率を増やすべきだ。

慣れていないとどうやって直取引をゲットするのかわからないかもしれないが、世の中にはたくさんのライターを必要としているサイトがある。

最近では「スマートニュース」などのニュースアプリでも、超大手でないサイトがピックアップされているので、特に専門分野に特化したサイトであればその分野に詳しいライターを募集していることも多い。見つけたらすぐに応募すれば良い。

その場合やはり得意分野を持っていることは大きな強みになる。特にその得意分野に特化したSNSアカウントを持っていれば、話は早い。実際にファッション分野で10,000人のフォロワーを持っていれば、そのカテゴリーのライター募集には100%に近い確率で採用される。

もしまだそのような強みがないのであれば、今からSNSアカウントをしっかりと育てても良いだろう。ファッション、フード、マネー、医療、ヘルスケアなど、専門家やインフルエンサーとしてフォロワーを獲得しているアカウントほど、説得力のあるアピール要素はない。SNSでライターの愚痴を漏らしている暇があったら、直接仕事につながるような行動をしたほうが遥かに創造的だ。

そのほかにも自分の得意な分野の単語+ライター募集、でGoogle検索しても良い。

考えてみればこのようにライター募集をしているサイトを見つけるのも、クラウドソーシングで案件を探すのも、手間としては大して変わらないはずなのに、なぜかちゃんとそういうアクションを起こさない人が多い。人は本当に危機感を持たないとなかなか動かない。だが、危機が目前に迫ってから動き始めても、ほとんどの場合は間に合わないのだ。フリーランスで生きていくということは、ひとつ間違えると立ち直れないほどのダメージを喰らうこともあるのだから、元気なうちにあらゆるリスク分散をしておくことを心からお勧めしておく。

直取引には冒頭で話したようなデメリットもないことはないが、その分手数料もかからないので高単価になりやすいし、トータルで考えれば万一幾つかの仕事をばっくれられても、損はしない計算になるはずだ。

理想としてはクラウドソーシング50:直取引50、程度の割合に持っていければ良い。まだ直取引のために行動していないのであれば、一刻も早く動いてみるべきだろう。

イラスト:りぴ

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