「地雷クライアント」なんて呼ぶとお金を下さるクライアントさんには悪いとは思うが、確かに地雷のようなクライアントは存在する。
地雷といってもそれは主観的なものではなく、必要以上に手間や時間がかかったり、クラウドソーシングを間に挟んでいればリスクは少ないが、報酬を払ってくれないようなクライアントをここでは地雷クライアントと呼ぶ。
あとは、最初の条件と実際の条件、条件というのは文字数とか文字単価を指すのだが、この話が変わってしまうクライアントもそうだ。
正直なところ、このような信頼関係を結べないクライアントとは仕事を続ける意味がないのだが、事前に見分けることは難しい。特にこういうクライアントは、妙に親しげに接してくることも多いのだ。さすが手慣れていると言うのか。
今回はそんな地雷クライアントの見分け方みたいな話をしていくのだが、ではその地雷とは例えばどんなことなのだろう。
ひとつは
「初めに提示した条件を納品後、あるいは作業着手後に変更してくる」
こと。
もちろん変更とは、悪い方にだ。わかりやすいのが報酬の変更。1文字1円という募集だったのに、いざ仕事を始めようとしたら知らないうちにこれはテストライティングだから0.5円になっていた、とか。もちろん募集の際にはテストライティングの話は書かれていない。
あるいは納期を極端に短縮してきたり、仮払いが済んでいないのに仕事を始めろといってきたり。もちろんすべてランサーズ(代表的なクラウドソーシングサービス)では違反行為となる。
ランサーズなどを介していればクライアントから報酬を取りっぱぐれることは少ないのだが、直取引となると、いろいろ難癖をつけてきて報酬を払わないというのも、最も悪質な地雷クライアントだ。
さて、このような地雷クライアントを見分けることが難しいとはいえ、経験的にヤバイなここは、と言うのはなんとなく感じ取ることができる。あくまで個人的な感想というか、経験から地雷の可能性が高いクライアントの見分け方を記しておこう。参考までに、と言うレベルで読んでいただければありがたい。
くどいようだが、ここであげるようなやり取りを経ても、すんなり仕事が進むクライアントもあるかもしれないし、ここで書くようなことはルール違反でなければ別に悪いことでもない。だが、なんとなくこういうクライアントってやばそうだな、というパターンも見え隠れしている。
まず、オンライン面談をしたがるクライアントがそれだ。
なぜだか知らないがオンライン面談をしたがるクライアントは、だんだん話が変わってくることが多い。これといった理由が思い当たらないのでたまたまかもしれないが、経験的にオンライン面談をしたがるクライアントは、長続きしないことがほとんどだ。
例えば筆者は時々覆面調査的に仕事をチェックしたりするのだが、その際オンライン面談を申し込んできたクライアントがあり、最初の条件は普通に1文字いくらとかだったはずなのに、20分ほど話をして「では~について書いてもらえますか?」と言ってきたので「それはおいくらの仕事ですか?」と聞いたところ「テストライティングなので、報酬はなしです」という返事をもらいびっくりした。
ちなみにその時は話の中で書籍を執筆したり、新聞やテレビの取材を受けたり、大手メディアに寄稿していたりという話をしたのに、である。正直ふざけんな、という気持ちで、その瞬間に「ああ、今回はご縁がなかったみたいで」ということで話を打ち切った。
オンライン面談をしたがるクライアントはそういうパターンが多いので気をつけよう。気をつけるというか、オンライン面談自体が時間を取られるものだし、本来なら面談することに対しても報酬が欲しいくらいなのに、と個人的には思う。
このオンライン面談を含めて、事前の打ち合わせがやたらと細かいクライアントも要注意だ。
必要な情報として事前の指示が多いのは仕方ないところもあるが、要はそのように詳細なやり取りを求めてくるクライアントは、納品後のチェックなどが非常に細かく、その結果時給計算した場合の報酬が極めて低くなってしまう可能性が高い。
もちろん、初心者のうちからそういった打ち合わせや納品後のやり取りを「効率が悪いから」という理由だけで嫌がるのは、修行のみと考えるとあまりお勧めはしない。経験を積むという意味で、初めのうちに地雷を踏んでおくことは悪くないからだ。これは、レギュレーション(書き方のルール)がやたらと細かいクライアントも同様だ。
もちろん、事前打ち合わせが細かかったり、レギュレーションがやたらと分厚かったりするクライアントでも、継続して仕事を出してもらえるようになれば、初期の手間が多少かかったとしてもトータルの報酬で吸収できるので、今後継続的に付き合いたいと思うのであれば初期コストとして割り切っても良いだろう。
ただし、細かいクライアントの地雷率は変わらないから、結果的にいつかトラブルに発展する可能性は否定できない。さらに言えば、地雷の定義はライターの特性や性格によっても変わるだろうから、筆者が避けるようなクライアントでもあなたにとっては素晴らしいクライアントである可能性もある。
ただ、ある程度経験を積んだのであれば、できれば事前に地雷は避けたほうがいいのは確かだろう。手間ばかりかかって仕事も報酬も前に進まないケースは珍しくないから、ちゃんと稼ぎたいのであればリスクは事前に取っ払うのが正解だ。
今回は繰り返しになるが、個人的な感想だ。これを読んで賢く地雷を回避できるようになるには、ある程度の経験が必要かもしれないし、ビギナーはその経験を積む意味でもあえてこのようなクライアントにチャレンジするというのも一つの考え方だ。
だが、失敗したなと思ったのに同じ失敗を何度も繰り返すのは愚かだ。
一度そのような地雷を踏んで、あとからああこれのことだったのか、と思い起こしその後の参考にしていただければ幸いである。
イラスト:りぴ